今日の夜ご飯はアイスクリーム

今回のブログは「流浪の月」という小説の感想ブログです!

はちゃめちゃに長いしまったくネタバレに配慮してないので読む予定や映画を観る予定がある人はブラウザバック!


私は基本的に小説は一日で一気読みして後から気になったところを読み返したりするのですが、流浪の月はカロリーが高くて文章量が他の小説と比べて多い訳でもないのに読破に時間がかかりました。このカロリーが高いって言うのは自分の今までの行動への反省や登場人物への疑念・苛立ち・同情等が1ページ毎に頭の中をぐるぐるして飲み込むのがとても難しかったです。

この小説は「善意」や「優しさ」は何なのかをすごく考えさせられました。

例えばニュースに出ている被害者に同情すること。友達の両親の愚痴を親身になって聞くこと。それに対して私は勝手な自分の解釈で勝手に可哀想だと思ったり勝手に相手の感情を推し量って勝手に意見する。それって、別におかしい事じゃ無いんです。だって相手の感情なんてどうやったって知る事は出来ないし、相手に何があったかなんて分からない。この作品の更紗を取り巻く環境はずっと更紗の言葉を聞こうとしませんでした。でもそれは、世間的に見たら仕方の無いことです。更紗は女児誘拐事件の被害者であり、性加害を受けていた可能性があってそんな少女が大人になり今だに加害者と接点があるなんて、「洗脳」だと思われるのは致し方ないことだと思うんです。でも、私たちは小説を読んでいて、更紗視点での「文(加害者側)」という人物がどういった人であったかを知っているし、更紗を本当に加害してきた人は誰だったかを知っている。でもそれは読者視点、つまり神的視点で物語を読んでいるから分かるのであって実際に流浪の月の中で生きていたらきっと私は文を批判し、更紗に同情していたんだと思います。それが世間的「善意」で「優しさ」で「普通」だからです。

果たして、普通って一体なんなんでしょう。

更紗は夕飯にアイスクリームを食べてスプラッタ描写のある映画を幼少から観せる家庭で育っていたけど幸せだったし、文と2人で暮らしている間も幸せでした。逆におそらく普通に幸せと呼ばれるはずの彼氏との同棲(亮との二人暮し)の間は息が詰まるような感覚で生きていたんです。

この世を生きる上で、学校に通い、就職し、結婚するその1本の道が普通でそれ以外が間違っている。大学生で彼氏が出来ないのは普通じゃなくて、男でメイクをするのは普通じゃなくて、女で家族を養うのは普通じゃない?

私は自分が「普通」になれない自覚があるし、それを嫌という程感じるような経験も今まで何度もしていて、それに苦しんだし悩んだし、その普通を押し付けてくる人達の当たり前の善意や優しさに頭を抱えた事もあったので文や更紗程ではなくても、文や更紗の人生を通して自分を見ているようで息が詰まって何度も読書を止めてしまいました。反対に自分は人に「普通」の枠にはめられるのが辛い、くるしい、嫌だと思って私を分かったように自分本位な優しさを押し付けないで!と思うくせに他人には自分本位な優しさや善意を押し付けるきらいがあって。

人にはそれぞれ人生があって、それぞれの道があるのに私も私の中の「普通」を友達や家族や皆に、押し付けていたかもしれないと立ち止まることが出来ました。

そして、最後梨花ちゃんだけが更紗と文の主張を信じ、「自分の見た文と更紗」を真実にしてくれた事に心底安堵して、この物語の結末はすごく美しいなと思いました。自分のステレオタイプで、自分の視野を狭めて目の前にある真実を取り零すなんて、そんなの全く美しくない。でもきっと私は自分自身で視野を狭めて何度も真実を取りこぼしてきたんだろうな。

本当は普通なんて、無いんです。皆が皆違くてそれが当たり前で解説の言葉をお借りすると「文のような人もいる」「更紗のような人もいる」「2人のような関係を築いた人もいる」。

インターネットには沢山の「事実」が流れてくるし、その事実に肉付けされた憶測が飛び交う毎日ですがその事実と憶測だけで勝手に自分の善意を人に押し付けるんじゃなく自分の目で真実を確かめられるように生きていきたいです。


と上記は小説を読んで私の考えた事なのですが今からの文章は凄くこの小説の個人的に「良い」と思った点について話します。

1つ目は更紗の生きづらさに酷く共感できたこと。こんな言葉を使うのは少しおかしいですが、更紗は無力で学がなく非力な人間だと「思われている」。可哀想で守るべき存在だと認識されている。私はその描写を受けて「舐められているな」と感じました。生きていて、たまに「この人自分の事を酷く下に見ているな」と思う事はありませんか?私は、結構あります!(そんなこと言うな!!)

舐められていると言うと聞こえが悪いのですが、「あー、この人私の事酷く馬鹿で何も考えていないと思ってるんだろうな」とか「この人、私の事自分の何倍も下の地位だと思ってるんだろうな」と思う事があります!(断じてMMでこんな事は起きてないので安心してください!未来での出来事の話です!)別にその事に大して怒ってる訳ではなくて!ただ、「更紗」はその「下に見られている」状況を利用している部分もあって(それは私もそうなのですが)、甘える事によって上手く生きていく事ができるんです。だから自分の扱いは不当であると言い出せない。我慢するしかない。更紗のその不甲斐なさとモヤつきが読者にダイレクトに伝わってきて共感できてとても良かったです。その分凄く苛立ちました、私が更紗なら舐めやがって!と言ってたかも!笑

2つ目は文と更紗の間に恋愛感情や性愛が存在しない事。これはね、私の本当に個人的な趣味嗜好の問題なんですけど、男女の恋愛に慣れない(同性間での恋愛に慣れてるわけではない)から、こちらの方がスっと入ってきた感覚がありました。直ぐに男女の深い関係を恋愛や性愛に落とし込むのがあまり好きではないので……。男女の関係って直ぐに恋愛に落とし込まれがちじゃないですか?!この世に存在する作品は。なんでこんなに直ぐに名前をつけたがるのかな。別に一緒に居たいそれでいいじゃん!って思うので。うーん上手く言えないの、ただ同性間の深い関係は恋愛や性愛に置き換えられずそのままの濃度で享受する人が多い中で異性になった瞬間に名前をつけたがる人が多い気がする!だからそのまま恋とか性とかに結びつけない更紗と文の「愛」が私は好きです。


私の変なところ、更紗と文に勝手に受け入れてもらった気がして、助けて貰った気がしました。

私は凪良先生の別作品(バリバリのBL小説)を読んだ事があってこの人は恋愛描写が上手いなあという印象より誰かに溺れる人(恋愛じゃなくても)を描くのがすごく上手だなっていう印象があって、そういう面でもとても面白かったです。凪良先生の書き物は文章から新たな学びを得られる気がするのでとても好きです。また本読みたくなっちゃったな。普段後味激悪ミステリーや登場人物が全員死ぬホラーばかり読んでるのでこんなに美しい結末を呼んだのは久しぶりでした。

皆さんもおすすめの本があったら教えてください!


私は夕飯にアイスクリームをたべるし、深夜に新しく小説を読み始めるし、ひとりで遠出したりするけど、誰にどう思われたって、それでいいの。


以下コメ返⬇️









秋葉原のメイドカフェなら

MAID/MADE

コメントを投稿するにはログインしてください。

ぷてぃの最新ブログ